そもそも基礎って何?
基礎とは地面と建物間に存在する建物を支える土台の事です。
画像は基礎工事中の住宅です。写真のコンクリート部分が基礎と呼ばれるものです。
この基礎部分がしっかり作られていなければ、どれだけ上に立つ家が頑丈でも意味がありません。家の荷重を均等、垂直に地面に伝える役割の基礎がいることで建物が沈んでしまうことを防ぐことができるのです。
耐震性から見たときに布基礎とベタ基礎どちらがおすすめ?
多くの方が、基礎で気にされるのは耐震性。その為、耐震面での結論を先に述べておきます。
布基礎とベタ基礎、どちらを選ぼうが耐震性に変わりはないです。
しかし、どの場合でも必ず構造計算をして耐震等級2以上を取って下さい(個人的には等級3を推奨します)
なぜ構造計算をすることが必要かというと、耐震等級2以上を取る場合、基礎の幅や深さも構造計算で加味されるからです。建築基準法をクリアするだけの等級1では構造計算がされないので基礎も当然最低限のものになってしまいます。
布基礎よりベタ基礎の方が強度がある…、布基礎でも地中深くコンクリートを入れればベタ基礎よりも強くできる…など判断に迷う意見がネット上に散見していますが、耐震性においては気にする必要はありません。構造計算をすれば、基礎の幅や立ち上がり、深さまでしっかり指定され耐震性が担保されるのですから。
以降は、耐震性以外の面で基礎の特徴と選び方を解説していきます。
基礎の種類
基礎の役割が分かったところで基礎の種類、表題にあるべた基礎と布基礎について解説していきます。
布基礎
積水ハウスさんやヘーベルハウスさんといった鉄骨系のハウスメーカーが採用している基礎になります。昔からある工法で多くの会社で採用されています。
一言で特徴を表すなら「線(点)で支える」構造といったところでしょうか。
※出典:宮城の家づくり情報局
※基礎立ち上がりは長期優良住宅では400㎜以上、建築基準法では300㎜以上
ひと昔前までの布基礎は床下を除くと土が見える、といったものが多かったのですが、近年は防蟻、防湿の観点からコンクリートや専用のシートをかぶせるようになっています。
ベタ基礎
木造住宅で広く採用され、今現在日本で最も採用されている基礎工法になります。布基礎が線で支えるものだったのに対し、ベタ基礎は「面で支える」構造になります。主要構造部分を支える立ち上がりと建物全体を支える床スラブで構成されています。
※出典:宮城の家づくり情報局
布基礎のメリット・デメリットは?
布基礎のメリット
布基礎の特徴としては以下の2つが上げられます。
1、費用を抑えることができる
布基礎と比べ使用するコンクリートや鉄筋の量が減るため、材料費、人件費、施工費といった費用が抑えられます。
2、鉄骨造と非常に相性が良い
鉄と木では当然鉄の方が掛かる荷重が大きくなります。鉄骨造で家を建てる場合、基礎の立ち上がり部分により大きな力が掛かる為、ピンポイントで支える布基礎がマッチします。
布基礎のメリット・デメリットは?
1、湿気、シロアリ被害のリスクが大きい
土が向きだしになることがある布基礎の場合、地面から湿気が直に建物に上がってくるため結露し腐ってしまうおそれがあります。シロアリ被害も発生します。
その為、布基礎の場合はしっかりと防湿、防蟻対策をすることが必須となります。防湿、防蟻シートを施工したり、地面を露出させないようにコンクリートを敷いたりと住宅会社によって対策方法は分かれます。
2、より強い地盤補強が必要になる可能性が高い
線(点)で支える為、基礎の自他の地盤もそれなりの強度が要求されます。面で支えるベタ基礎の場合はそこまで強い地盤を要求されず、地盤表面だけを改良すればよい場合が多いです。しかし、布基礎の場合は地盤の補強も深くしなければいない場合もあり、ベタ基礎では建てられる地盤だが、布基礎では建てられない、といったケースも発生します。
ベタ基礎のメリット・デメリットは?
1、湿気、シロアリの被害を抑えられる
基礎が一体となっており、地面と建物が接することが無いため湿気、シロアリ被害を最小限に抑えられます。木造住宅の天敵であるこの2つを防げるのは非常にメリットになります。住宅会社によっては、ベタ基礎にしたうえでさらに防蟻、防湿の対策を施している会社もありますので、要チェックです。
2、木造住宅との相性が良い
面で支える構造の為、木造住宅と相性抜群です。木造住宅の荷重は、均一に掛かる傾向にあるので面で支える必要があります。木造住宅で布基礎にしてしまうと、不動沈下により家の一部だけが傾いてしまうリスクがあります。
昔の家が傾いているのはベタ基礎であることが要因の一つでもあります。
3、不動沈下につよい
前の項目でも少し触れましたが、ベタ基礎には荷重が均一に掛かり、基礎全体が繋がっている構造の為不動沈下(地盤の一部だけが沈む現象)に強い特性があります。一部が沈んでしまっても、他の基礎部分がその一部を支える為家が傾きにくくなります。
ベタ基礎のデメリット
1、費用が掛かる
布基礎とは逆にコンクリートや鉄筋の使用量が増えるベタ基礎はどうしても費用が掛かってしまいます。それでも、50万高くなった!といったように大幅な金額増は発生しにくいです。掛かっても10~20万のうちに収まるでしょう。
2、寒冷地には向いていないこともある
寒い地域ではベタ基礎をするのにかなりの費用を有してしまうことがあります。気温が低いと地面の中の水分が凍結してしまい、それにより基礎が押し上げられ建物にダメージを与えてしまうことがあります。そのため、寒冷地では地中で凍結が起こる深さ(凍結深度)の基準が決まっており、その基準より深く基礎を打たなければいけません。なので地中深くにコンクリを入れるコストを考え、寒冷地では布基礎が採用される割合が多いです。
結論:布基礎とベタ基礎どちらを選べばいいのか
ここまで布基礎とベタ基礎それぞれのメリット、デメリットを解説してきました。耐震性、耐久性、メンテナンスなどそれぞれの面で比較してみましょう。
コストで比べる【どちらも同等の価格】
一般的には、使用する材料が少なくて済む布基礎の方がコスト面では有利になります。昔は、布基礎が基本だったため、ベタ基礎になると値段が上がる、というケースもありました。しかし、ベタ基礎の普及が進むにつれて、施工の仕方や職人の数も増えたことで、施工費用はどちらの基礎でも変わらないのが現在の状況です。
その為、違いが生まれるのは材料費だけとなります。コンクリートの価格は地域によります。と言っても基礎の工法で50~100万変わることなく、同じ施工面積100㎡で比べた場合だと、10~20万円の差額に落ち着くでしょう。
工期と工程で比べる【どちらも同じ】
基礎工事は、どちらも日数に違いはありません。同じ材料であるコンクリートを使う以上、固まるまでの養生期間が発生します。コンクリートを使う量こそ違えど養生期間は同じになる為、工期も同じになります。
耐震性で比べる【構造計算をすればどちらも同じ】
構想計算もしない場合は、ベタ基礎の方が耐震性には優れます。布基礎であっても、立ち上がり部分の幅や根入れの深さ、地盤改良によって耐震性を高めることは十分可能です。一番信頼できるのは、基礎の作りから構造計算を行い適切な仕様の基礎にすることです。基礎から構造計算をしっかりと行えば、どういった工法であっても耐震性は担保されます。
湿気・シロアリ対策で比べる【ベタ基礎の方が安心】
ベタ基礎の方がコンクリのつなぎ目が少ないため、地中からのシロアリには強いです。だからと言って絶対に安心、というわけでもありません。シロアリ対策は、基礎以外にも防蟻処理や構造材も含めて総合的に対策しなくてはいけません。それぞれの住宅会社がどういった方法でシロアリ対策をしているかは確認するようにしましょう。
また、湿気対策は換気性能にも関わってきます。換気が行き届きやすい基礎なのか、使用している換気システムは床下までカバーしているかなど要チェックです。もちろん気密性も重要です。
構造で比べる【木造ならベタ基礎、鉄骨なら布基礎が良い】
どちらも構造計算をすれば強度は保証されます、防蟻、防湿観点からもそれぞれしっかりと対策をすれば大丈夫です。しかし、構造が木か鉄かによって適切な基礎があるので、ここは抑えておきましょう。
木造なのに布基礎、鉄骨なのにベタ基礎といったチグハグな会社は選ばないようにしてくださいね。
飛騨地域の場合 布基礎とベタ基礎どちらを選ぶべきか
では飛騨地域の場合、どんなことを考えなくてはいけないのでしょうか?飛騨地域は断熱基準でみると3地域と4地域が混在している地域になります。
飛騨地域の凍結深度
下呂市、高山市、飛騨市、郡上市…規定なし
現在飛騨地域には凍結深度の規定がありません。しかし同じ4地域の長野県長野市では凍結深度は45㎝以上と基準が設けられています。標高が800mを超える場所では60㎝以上となっています(高山駅の標高は573m)
ちなみに建築基準法では、ベタ基礎の場合12㎝、布基礎の場合24㎝が最低基準です。規定がないとはいえ、強度面も考え多少深くなることは許容する必要がありそうです。構造計算の結果により、深さが指定されるときもあります。
飛騨地域における水害対策
飛騨地域は河川の近くに街ができています。水害や洪水への備えも考えなくてはなりません。ハザードマップを見て、水害の危険が無い地域に建てるのが一番ベストなのですが、予算状況や個人の考えによっては多少リスクのある場所に建てる場合もあるでしょう。そういったときに意識して欲しいことが一点だけあります。
それは、
基礎の立ち上がり(地面からの高さ)を45㎝以上にすること
なぜ45㎝にする必要があるかというと床下浸水の時の保険適用の有無があります。
火災保険の水災補償の規定では、「床上浸水」または「地盤面から45㎝を超える浸水」によっての損害が補償されます。しかし裏を返せば、「45㎝以下での床下浸水によっては補償がされない」ということ。
建築基準法上の基礎立ち上がりは30㎝、長期優良住宅基準でも40㎝が最低基準です。長期優良を満たしただけでは安心できない、というのがポイントです。
水害によるリスクがありそうな地域では、基礎の立ち上がりを45㎝にすることをお勧めします。
災害のリスクが少ない土地の選び方に関しては、以下コラムでも解説しています。
R+house飛騨では、住宅の耐震性・耐久性・メンテナンスを意識した家づくりをしています
R+house飛騨では、耐震等級3を標準にしています。耐震性の他にも防湿性、防蟻など家の寿命を長くさせる工夫を行っています。正しい施工方法と適切な建材を使うことで、将来のメンテナンスコストも抑えることが可能です。
R+house飛騨の基礎は、ベタ基礎より優れる『ハイストロング工法』
R+house飛騨の新築物件は、すべてベタ基礎+『ハイストロング工法』を標準としています。ハイストロング工法とは、新築の基礎断熱で使用する防蟻断熱材をコンクリの型枠として使用し、工期を材料費を抑えた新しい工法です。
金属や木製の型枠を使用しないことで、工期の短縮と施工精度の向上を実現しました。より詳しくは、コラムページにて解説しています。
>>高山市で建てるR+house飛騨の基礎『ハイストロング工法』について解説します
R+house飛騨では家づくりの疑問や進め方などの情報を発信中!飛騨で注文住宅を検討中の方は、是非一度R+house飛騨へとお問い合わせください。