日当たりのよい庭は家族の憩いの場
一番の要望は、生徒がレッスンに来ていても家族はリビングでくつろげる間取り、
しかし、レッスンがないときは身近にピアノの存在を感じていたいという気持ちもありました。
そこで、建築家の木内さんはピアノ室とリビングを引き戸で仕切り、両空間のつながりを自在に調整できるようにして、相反する条件を解決しました。
グランドピアノに呼応するように、黒を差し色に使ったモノトーンのインテリア。ダークな色合いの家具と相まって落ち着いた雰囲気。限られた面積内で、ピアノのレッスン室と居住空間が見事に共存しています。
また、「窓から緑を眺めたい」というご夫婦の要望は、アプローチ側に設けた庭を玄関横の半屋外のデッキでリビングと繋げることで実現。リビングからいくつも見える植栽が通りからの視線を遮り、カーテンを閉めなくてもよい開放的な空間づくりに一役かっています。ダイニングには地窓を設け、緑あふれる空間としました。
2階の洗面室や大きなミラーや間接照明を使いホテルライクな見た目にしています。
デッキテラスが見える開放的な玄関
デッキテラスと隣接する開放感ある玄関は、家族用とピアノ教室の生徒用で2つの動線を作りました。玄関に入ってすぐ手洗いがあるのは、ピアノ教室の生徒も使いやすいようにした工夫です。
ピアノ教室に使っている部屋には、グランドピアノが置いてあるため、グランドピアノに呼応するように室内のインテリア小物や内装をモノトーンでまとめています。
床はモノトーン調に調和するようにウォルナット色の無垢フローリングを使用しました。白い壁紙とデッキテラスに見える緑とも呼応しそれぞれがまとまっておしゃれな雰囲気になっています。
地窓からも緑が見えるモノトーン調のキッチンとダイニング
家具、床、腰壁をダークな雰囲気に統一し、モノトーン調の仕上がりにしました。重厚感のある空間だからこそ、窓からの光や景色が引き立ちピクチャーウィンドウの様に見えてきます。
「休日の朝、ダイニングから緑を眺めると和みます」とご主人。
対面キッチンは、家事をしながらでも家族の気配を感じられ、リビングに視線を向ければデッキテラスの緑が癒しを与える素敵な空間になっています。
キッチンの腰壁は、料理中や片付けの際に手元を隠す役割も持っています。実用性とデザイン性を両立した設計です。
ギャラリーのような雰囲気のピアノ室はフロアタイルでモルタル調に
ピアノ教室はリビングから一段床を下げています。教室と居住空間を空間的に区切る役割を下がり床には持たせました。レッスン中は、引き戸を閉めることでピアノ教室が個室となり、生徒も集中することができます。
また、お客様の一番の要望は、「生徒がレッスンに来ていても家族はリビングでくつろげる間取り」「レッスンが無いときは身近にピアノの存在を感じていたい」という一見すると相反する物でした。しかし、建築家のプランニングによりその2つが見事に共存する素敵な間取りになっています。
下がり床と引き戸で空間を区切りつつ、引き戸を開け放てばリビングからはピアノ部屋がギャラリーの様な雰囲気に早変わりします。引き戸の開け閉めで自在に空間の繋がりをコントロールできる。そんなお客様の要望と暮らし方に沿った提案にお客様も大満足です。
二人並んで使うことが出来るホテルライクな洗面室
家族用のトイレと洗面脱衣室を一ヶ所にまとめ、スペースの合理化と建具費用の削減を図った洗面脱衣室。
2階のウォークインクローゼットに併設されたこの空間は、家事のしやすさも考えられた充実の空間となっています。
朝は二人並んで身支度ができる広いカウンターは、アイロンスペースや洗濯物を畳む空間としても役立っています。浴室側の洗濯機から洗濯物を取り出し後ろを振り返れば、バルコニーへと扉を通して直結できます。バルコニーで干した衣類は、そのままウォークインクローゼット側の扉から屋内へ、という回遊動線となっています。「収納を一つにまとめたい」という要望に応えるだけでなく、収納をさらに使いやすくする回遊動線も盛り込み、要望にプラスアルファされたプランニングは建築家ならではの設計です。
大きなミラーや間接照明は、ホテルライクな印象となり、毎朝気分を上げて身支度ができます。
落ち着いた書斎がある広い寝室
寝室にはご主人の書斎コーナーを設置。
三人家族で使える広い寝室は、子どもが小さいうちは書斎として使用し、将来は子ども部屋に。
子どもが成長した後は再び書斎にも戻せるように、ライフステージに合わせて可変する間取りを提案しました。
子ども部屋と書斎を別々設けなくても、使い方や暮らし方によって同じ空間に複数の意味を持たせることもできます。限られたスペースでもどう暮らしていくか、どう使うかによって間取りの自由度は格段に上がります。
リビングと繋がるデッキテラスで季節の移ろいを楽しめる
庭とリビングの間につくった半戸外のデッキテラス。
外庭との接点を小さな中庭がつないでいます。室内のように使用でき、プライバシーを確保しながら季節の移ろいを楽しめます。
実はこのデッキテラスとそこから繋がる庭は家の東側に位置しています。そして、一階の南面には窓が一つもないのです。もちろんこれにも理由があり、土地の環境が影響しています。
南側に隣家が迫っているため、一階南部分に窓をつけても採光と景色が望めないことが設計する前から分かっていました。その為、一階に南側の窓はつけないと割り切り、二階の南側に窓を作って吹き抜けを介して一階に光が入るように設計しました。
吹き抜けの効果的な使い方により、一階にも十分に光が入りつつ、景色は東側のデッキテラスを通して楽しむ、といった開放的な暮らしが実現しています。
日当たりの良い庭は家族の憩いの場
外を楽しめる庭が欲しい、という要望には、目隠しを作った庭を作って実現しました。デッキテラスを通して繋がる庭は、家族の憩いの場として大活躍しています。子どもが安全に遊べる庭として、公園に行かなくても思い切り遊べる空間となっています。
片流れのシンプルな形状にリシン吹付と板張りを合わせた外観
片流れのシンプルな形態にリシン吹付と板張りの外壁を組み合わせた素材感豊かな外観。
リシンの吹付は、細かい凹凸もありつつシンプルにまとめることが出来る材質です。シンプルモダンな印象に玄関周りの板張りでナチュラルな印象をプラスしました。
板張り部分は玄関ポーチの壁で、軒のある部分なので雨による劣化も軽減できます。無垢の板張りは、定期的なメンテナンスが必要になりますが、経年変化していく風合いもまた、家の外観をおしゃれにしていきます。子どもが成長したら家族全員で、板張り部分の塗装を行ったりとメンテナンスを家族のイベントごとに昇華する暮らしもできるかもしれません。
これから、お家とお庭がどういった成長をしていくのか、とても楽しみですね。
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