そもそもリフォームとは
リフォームとは既存の建物に手を加え、修繕、交換などを行い新築時と同等の状態に戻すことを言います。水廻りの設備交換を始め、雨漏りによる屋根の修理、外壁の再塗装といった修繕工事がこれにあたります。また、壁内部の断熱材を新しくし新築時と同等の性能に戻す断熱リフォームも増えてきています。
リノベーションはどう違うのか
最近注目を集めているのがリノベーション。リフォームとは少し定義が違います。リフォームは、老朽化などにより劣化した性能を新築時と同等に戻すこと。いわばマイナスをゼロにするものです。一方リノベーションは、劣化等はないけれど、大規模な改修を行い新築時以上の性能・価値をつけるもの。ゼロをプラスに持っていくものです。
似ているようで目指すゴール地点が違います。リフォームかリノベーションか。まずは、家をどんな状態に持っていきたいのかを考えることが必要です。
建て替えとは?
建て替えは分かりやすいですね。既存の住宅を基礎部分から取り壊し、新たにゼロから新築することを言います。築年数が古い家の場合ならば、建て替えのほうがメリットが大きかったりします。
しかし、ここで注意するべきことが一つ。実はすべての住宅で建て替え可能というわけではないのです。「建築基準法で定められた幅員4m以上の道路に2m以上接している土地でなければ建て替えができない」という原則があります。昔から経っている家の中には、車が通れないような狭い道の先に建っている、という場合もあります。そういった立地では、新たに家を建てることができません。救急車や消防車といった緊急車両が家の前まで来れるような広さの道路が無いといけないのです。
そのほかにもさまざまな制約があり住宅密集地など道幅が狭い所は容易に建て替えができないケースが多いです。自身の家が建て替えが可能なのかどうかは最初に確認すべきことでしょう。
リフォーム、リノベーションのメリットは?
まずはリフォームのメリットとデメリットをそれぞれ解説していきます。
リフォーム、リノベーションのメリット
不便と感じる部分をピンポイントで解消することができる
水廻りだけ新しくしたい、床を張り替えたい、そういった限定した要望に応えるのがリフォームです。
工期が短くて済む
工事を行う場所が限定されるため、工事期間も短くて済みます。規模にもよりますが一般的には1ヶ月から3ヶ月です。
場所によっては住みながらでも工事が可能
家の中すべてを触るわけではないので、工事期間中もそのまま家で生活が可能です。水廻りのリフォームの場合は、数日間該当箇所が使えなくなる、というデメリットがあります。
工事にかかる費用を抑えられる
費用面の事も考えなくてはいけません。新築に比べると、リフォームやフルリノベーションの方が初期費用を抑えることができます。どういった内容のリノベーションを求めるかにもよりますが、キッチンやお風呂といった住宅設備の交換、断熱性を高める工事、可能な範囲での気密施工を行ったとしても、新築より500万ほど安くできます。
リフォーム、リノベーションのデメリット
既存の住居、中古物件をリノベーションすることにはデメリットもあります。どういったデメリットがあるのかそれぞれ解説していきます。
実現できる断熱性に限界がある
中古物件のフルリノベーションで実現できる断熱性は、HEAT20のG1水準です。
追加で断熱材を入れたり、サッシの性能を向上させたりと断熱性能を上げる工事はいくつかあります。ですが、リノベーションの場合、住居の構造(柱や梁など)は残したまま工事を行います。そうするとどうしても施工の手が届かない部分が出てきます。例を出すと床下の断熱です。断熱性能を高める為には、基礎断熱が最も良いのですが、物件によって基礎断熱が困難な場合があります。
基礎断熱ができない、となった場合は床断熱となります。その場合、断熱性能はどうしても低くなってしまいます。
古民家など基礎がコンクリではないパターンでは、基礎断熱は現実的ではないでしょう。また、基礎と土台の間にあるパッキンと呼ばれる部材によっても基礎断熱が難しくなる場合があります。
さらに、基礎で断熱するとなると、湿気対策として換気も考えなくてはいけません。基礎内部も換気させるための換気システムを新たに追加する必要があります。換気システムのダクトを増設できるか否かによって、基礎断熱の不可に影響してきます。
どれほどの施工をしても気密性能のC値は1.0を切るのがやっと
住宅に欠かせない気密性。新築時ならば高精度で行える気密施工ですが、リノベーションではどうしても気密性を高めることができません。住宅に使われている構造材は経年劣化していきます。建材である木材や鉄骨は、長年膨張と収縮を繰り返しているため隙間が生まれやすくなっています。どれだけ気密施工をしたとしても、経年変化で生まれた歪をすべてカバーすることはできません。
思いもよらない費用が発生する可能性がある
リフォーム、リノベーションではよく起こりえることなのですが、工事に入り一部解体を行ったとき、予想以上の劣化が判明するケースが非常に多いです。断熱材の入れ替えだけで済む想定だったはずが、壁を解体したら内部でカビが発生しており木部が腐っていた。なんてことも。そういった場合、当初の見積りとは別の費用が発生してきます。予想外が次々起こってしまい、想定より大幅な追加費用が掛かってしまった、という事態になってしまうことも…
物件によっては耐震性が不十分な場合がある
住むうえで重視したい耐震性。中古物件など古い家屋の場合、耐震性が不十分な可能性があります。耐震等級2や3でも油断できません。なぜならば、今現在の耐震基準と2000年より前の耐震基準は違うからです。2000年以前の基準では等級が高くとも、現在の基準で考えると全く基準に適合していない、ということがあり得ます。買おうとしている中古物件がいつ建てられた物件なのかは、非常に重要になってきます。
結論
リノベーションを例にメリットとデメリットを解説しました。建て替えの場合は上記メリットデメリットが逆になります。総合的に判断すると、以下の結論となります。
初期費用優先ならフルリノベーション
性能・ランニングコスト重視なら建て替え
住宅にそれほど多くの費用をかけたくない、という費用面を最優先にする場合はリノベーションの方が適しているでしょう。一方、高水準な性能の住宅で快適に暮らしたい。将来の電気代の値上がりや住居メンテナンスといったランニングコストを抑え、生涯で掛かる住居費を抑えたいという方は新築、建て替えといった選択をお勧めします。
飛騨地域ならどちらがおすすめなのか
飛騨地域では新築・建て替えがおすすめ
住宅に対しての優先度は人それぞれですが、個人的な見解で、飛騨地域ではどうしたらいいのかをお伝えします。
飛騨市、高山市、郡上市、下呂市といった飛騨地域は、東北地方と同レベルの寒さの地域です。そういった寒い地域の場合、建て替えや新築をお勧めしています。
身体が芯から冷える飛騨地域の冬、快適に心地良く過ごすためには、高性能住宅が必須です。また、飛騨地域では電気代、ガスや灯油といった燃料費の高騰も考えなくてはいけません。飛騨地域はプロパンガスなので、ガス料金も家計を圧迫します。よって家に住んだ後、日々のランニングコストを抑えることも考えなくてはいけません。
中古物件リノベで初期費用を抑えたい方へ
そうはいっても初期費用を抑えたい、という方もいらっしゃるでしょう。その場合もポイントもお伝えしておきます。
断熱性と気密性を妥協し、快適性が損なわれても我慢できる、という方のみ参考にしてください。
①中古物件は築年数20年以内の物を選ぶ
築浅物件であれば、構造部分が腐食しているリスクは低いでしょう。断熱改修や気密施工も比較的行いやすい部類に入ります(職人の腕によりますが…)
全国的に見ると、築50年以上でも断熱性や気密を高められた例がありますが、どれも比較的温暖な地域での実例になります。飛騨のような寒い地域では非常にハードルが高くなるでしょう。
②断熱性、気密性に対してしっかり考えている会社に依頼する
当たり前のようなことですが、高い基準で高性能住宅を提供している住宅会社に工事を依頼しましょう。あまり断熱気密を重視していない会社は、気密施工のノウハウがありません。そのため実現できる性能も低くなってしまうでしょう。一方、普段から高い水準の家を作っている会社ならば、リノベーションでもその力を発揮してもらえます。高い精度の工事を要求される為、工事のノウハウも多く持っています。腕のいい職人の割合も多い傾向にあるので安心感も違うでしょう。
最後に
リフォームと建て替えのどちらがいいのか、飛騨地域に当てはめながら解説しました。一生に一度の家づくり。後悔しないように考えるべきポイントを整理しながら進めていきましょう。R+house飛騨では家づくりの疑問や進め方などの情報を発信中!飛騨で新築・建て替えを検討中の方は、是非一度R+house飛騨へとお問い合わせください。